NO SLEEP ASSASSIN RECORDS

interview
Thomas Quinlan of Hand'Solo Records

2008年7月12日、かつてBuck 65がラジオ番組を持ち、そこにSixtooが入り浸っていたというハリファックス(ノヴァ・スコシア州)の伝説的ラジオ局にて、その日の某プログラムにゲスト出演する為にトロントから来ていたHand'Solo RecordsThomas Quinlanへのインタビューを行った。

最近のカナダのヒップホップ・シーンについて教えて下さい。トロントはどうですか?

Thomas Quinlan imageトロント(オンタリオ州)について何て言えばいいかな。。分からないな。(笑)トロントのシーンはいいと思うよ。いや、実はトロントに住んでいるのにトロント・ヒップホップのすごいファンっていう訳ではないんだ。トロントは重要な都市であるべきだとは思うんだけど。商業的にカナディアン・ヒップホップの中心だからね。もしカナダで音楽をやりたいならトロントに引っ越さなきゃいけないし、レーベルもトロントにあるし。でも、その為に、多くのトロントのヒップホップ・アーティストは商業主義で、彼らにとってはレコード・レーベルと契約して沢山のお金を手に入れることがとても重要になっているように思う。そのことが、僕がトロントで好きなアーティストを見つけるのを困難にしていて、実際あまり面白くないって思ったんだよね。たぶんもっと小さい町の方が音楽に適していると思う。僕自身、ハリファックスには住んだことはないんだけど、ハリファックスから音楽を発信し始めたし、その当時はカナダで一番ヒップホップに適した町だったと思う。革新的で創造的なことが沢山興っていたから、かなり引き付けられていたことは確かだね。でも残念なことに、当時活発に活動していたSebutonesやTachichi、The Goodsなどの多くがハリファックスを離れたり、あまり活動しなくなってしまった。だから、今はかつて程ハリファックスのヒップホップシーンに注目していないなぁ。だって最近は普通のヒップホップ(普通のアンダーグラウンド・ヒップホップ!!)の方が多いと思うんだ。。昔みたいに、もの凄いクリエイティブなことはここではもう興っていないんだ。僕にとっては、アルバータやサスカチュワンが今一番注目するべき都市かな。そこで沢山の音楽を見つけたんだけど、本当に創造的で面白いんだ。これらの町はまだそれ程知られていないけど、本当に面白いことが興るのはそういう場所だと思う。だから多分そういった意味で、ハリファックスもそうだと思うけど、音楽を作るのはレーベルと契約する為じゃなくて、誰もそこから有名になる人を捜してないってのもあるし、音楽を作るのが好きだから、音楽を作るんだと思う。僕が思うのは、そういう姿勢が、例えばCadence Weapon(ケイデンス・ウェポン)みたいなアーティストが、シーンを変えていくかもしれないということ。彼はエドモントン(アルバータ州)出身で、最近話題のアーティストなんだけど、アメリカのEpitaph Records(エピタフ)の傘下のAnti-(アンチ)というレーベルと契約してアルバムをリリースしたんだ。(* Big Dada(ビッグ・ダダ)から再リリースされた。)だから彼は、そうだな、今までより多くの人がエドモントンのヒップホップに注目するきっかけになったんじゃないかな。彼は多分もともとPitchfork Media(ピッチフォーク)でライターやレビュアーをやっていて、それからラップを初めて、数年後にファースト・アルバムを出したんじゃなかったかな、たしか去年くらいに。。それで、Polaris Music Prize(ポラリス・ミュージック・プライズ)っていうカナダの音楽評論家たちが選ぶ賞にアルバムがノミネートされて、最終選抜の10枚に残ったんだよ。しかも唯一のヒップホップだったんだ。結局受賞はできなかったんだけど、賞金は2万ドルだったんだ。

- DJ Beef「調子はどう?」。。。

トーマスがゲスト出演したラジオ番組のパーソナリティDJ Beefが登場。「調子はどう?」などの会話により。。。しばし中断。。

そう、それで、おかしなことにハリファックス出身のWordburglarよりもエドモントンなどの他の都市のアーティストと仕事をすることが最近は多くて、一番最近出したアルバムなんかもそうなんだけど、Epicもエドモントンに住んでるし。もともとはサスカトゥーン(サスカチュワン州)出身だったと思うけど。。2つの主要なレーベルがサスカトゥーンにはあって、確かClothes Horse RecordsとSide Road Recordsがそうだったと思う。

-ウィニペグはどうですか?-

ウィニペグ(マニトバ州)はPeanuts & Cornで知られてると思うんだけど、ウィニペグのシーンについてはよく知らないなぁ。でも、手にするウィニペグのヒップホップはだいたいPeanuts & Corn関係のだと思うよ。Mcenroe (* Peanuts & Cornの設立者)は、今はバンクーバー(ブリティッシュ・コロンビア州)に住んでると思ったな。そう、彼がウィニペグにいないから、Peanuts & Cornの残りのメンバーがどこにいるのか僕は分からないな。バンクーバーのように大きな都市だとヒップホップシーンも大きくて、トロントとはまた違った感じなんだ。音楽も、もっとゆるいというか、アメリカの西海岸っぽい音を聞くことができると思う。あまり詳しいことは分からないんだけど、やっぱりMoka Only周辺が中心なのかな。DJ Movesがバンクーバーに引っ越して音作りをしていた時はすごく嬉しかったなぁ。彼はある種「特異」なプロデューサーだから、ちょっと変わったことをやるんだ。だからバンクーバーのヒップホップ・シーンに変化をもたらして、多くの人が彼について行ったし、シーンが活発になったと思う。外から見ての意見なんだけどね。でも、彼はハリファックスに戻ってきた。彼は最初トロントに引っ越して、しばらくラジオでDJをやったりしてて、その後バンクーバーに行った。彼がバンクーバーに引っ越した時には、彼と活動していた多くの人が一緒に移り住んで、そこで音楽活動をしたようだね。それで今は、トゥル−ロ(ノヴァ・スコシア州)(*ハリファックスから車で1.5時間くらいの所にある町。)に戻ってきた。彼がトロントを去った時には、少し残念だったなぁ。。。彼とは沢山の時間をそこで過ごしたし、沢山のMCたちが彼のスタジオでレコーディングして巣立って行ったし。Governor Boltsのアルバムもそこでレコーディングしてたようだしね。おそらくGovernor Boltsの次のアルバムはもうすぐリリースされるんじゃないかな。あれは凄く時間をかけてレコーディングしていたようだから。それに、沢山の人が彼にリリースして欲しい、って言ってたし。

どこのレーベルからリリースするのですか?

Low Pressureだと思うよ。誰かがリリースできるように財政的な援助をしたんだと思う。それがGovernor Boltsがこれからライブを沢山やるようになるってことかどうかは分からない。。彼はそんなにラップをやるようには思えないし、彼は家族と過ごす時間を大事にしてるから。。彼には子供もいるし。ラッパーの多くが家族を持つと最終的にはラップを辞めちゃうようにね。(笑)思うんだけど、カナダでは本当に自分自身の音楽を作っているのは、小さい町だけなんじゃないかな。みんな本当に音楽が好きだから自分自身の為に音楽を作ってる。ロンドン(オンタリオ州)っていう町がトロントの近くにあるんだけど、トロント周辺ではそこが一番いい町だと思う。もちろんトロントには沢山のアーティストが来てライブをするんだけど、みんながそれを見に行くって感じじゃない。でもロンドンでは、トロントから車まで2時間弱の所にあるんだけど、もっと沢山の人がライブを観に来る。本当にヒップホップが好きな人たちがいるんだ。Toolshed (Timbuktu, Choke, Psyborg)っていうグループがいるんだけど、彼らはロンドン出身でね。あとはFritz the Cat、Ok Cobraもそう。あとはShad K。彼もおそらくロンドン出身だと思う。本当にいいシーンがあると思うよ。決して大きくはないんだけど、ライブをするのに適した場所だと思う。カナダのヒップホップ・シーンについて僕が思うのはそんなところかな。これだけ大きな国だから、全てについて触れるのは大変だよ。例えばモントリオール(ケベック州)には素晴らしいヒップホップ・シーンがあるんだけど、フランス語でやってるのが多いから。フランス語のヒップホップはテーマが全然違うんだ。僕はほとんどその辺のは聞かないから、多くを語ることは出来ないんだけど、ケベック(ケベック州)にはカナダの英語のラップよりも売れているフランス語ラップのアーティストがいて、Dub Matiqueは代表的なアーティストだよ。彼のレコードは、ケベックではとてもよく売れているんだけど、カナダ全体で見ると、英語を主に話す人たちの間ではあまり知られていないと思う。みんなフランス語でラップしてる音楽のことはあまり気にしないから。

英語を主に使用するカナダのリスナーは、フランス語のヒップホップに興味が無いのですか?

ほとんどの人が無いと言えるかな。。。

何か理由があるのですか?

僕が思うのは、ヒップホップではリリックがとても重要な部分を占めているから。人々は普通ラッパーが何を言っているかを聞いているから、もしそれが分からなかったら多くの人は聞きたいと思わないんだと思う。僕にもそういう友達がいるんだけど、彼は英語以外のヒップホップは一切聴かない。彼はラッパーが何を言っているか理解できるものだけを聴きたいんだ。だから僕が思うのは、英語のヒップホップは世界中どこにでも輸出できるけど、他の言語のは、英語を話す国、特に北アメリカに広めることは難しいってこと。カナダでもちょっとはフランス語の歌詞が入ってることはあるよ、アメリカでスペイン語の歌詞がサビとかでちょっと使われてるようにね。でも大体は、他の言語の音楽はここではあまり見かけないね、残念ながら。。

そうですか。日本の多くのリスナーは、英語のリリックを聞き取れないと思いますが、英語のヒップホップが大好きですよ。

うーん。僕が言いたい事とはちょっと違うかな。。僕が言いたいのは、僕はフランス語ヒップホップのファンじゃないんだ。なんだろう、多分僕は楽しみたいだけなんだけど、なんか僕にはフランス語ヒップホップは、メロウな感じがして。どうして、ジャジーなのが多いんだか分かんないんだけど。。でも僕的には、僕は沢山のドイツ語ヒップホップを聴いてきたし。。スウェーデンのヒップホップとかも聴いてたし。僕もリリックは理解できないけど、彼らの声を一つの楽器のようにとらえて聴いてたよ。日本のSpiritual Juiceなんかにしてもそうだけど、僕は彼らがなんてラップしてたか知らないけど、聴いていてかっこ良くてハードで、違う様式のヒップホップというか。だって、音楽が日本の雰囲気を持っていて。。分かるかな?彼らはそんな雰囲気の音源をサンプリングしていて、日本の音楽が所々に使われてて。だからなんか、ちょっと違うって感じるんだと思う。それに彼らの声とフロウ、抑揚の付け方も面白くて、英語のヒップホップのように聞こえるんだ。だから僕にとっては、そうやって音楽を聴いたり、違いを見つけたりするのはとても面白くて、彼らが何を言っているのか分かるようになりたいと思ってるんだ。

もし日本のリスナーが英語のリリックをすべて聞き取れるようになったら、聴く音楽の選び方も変わってくると思います。

そうだね。ほとんどの人は音楽の大部分を占めるメロディーを一番最初に聴いて、次に歌詞を聴くからね。僕が思うに、音楽はメロディーと詩が完全な層を成していて、だから詩の内容が分かったら、その曲はまた別の曲のように捉えられると思うんだ。例えば英語の曲でリリックが下らないのがあったとして、そのアーティストの歌い方が相当かっこよくない限り、僕はそれを聴きたいと思わない。だって、歌っている内容がくだらないって分かってるからね。でももし日本語の曲を聴いて、その歌詞が下らなかった場合、僕はそのことに気づかないから、トラックがかなりまともなら、僕はそれで全然平気。そうでしょ。僕はSpiritual Juiceが何についてラップしているか分からないけど、彼らはギャングスタな内容をラップしていないと推測してるよ。でも、もしそうだとしても、トラックが好きだから問題ないんだけどね。そういえば、テレビのインタビューであるラッパーが出ていたんだけど、彼らは外国出身で英語を話さないんだ。それでどうやってヒップホップを聴くかってことについて話していたんだけど、彼らは自分たちが英語を話せないことをとても嬉しいと言っていたよ。だってもし何を言っているかわかったら、きっととてもがっかりするだろうから、って。そう、だから、よく分からないけど、言葉って音楽に於いてとても面白い位置にあると思う。ヒップホップでは、メロディよりもリリックが重視されているけど、ラップには何語が合うとかは無いと思ってるんだ。僕は色んな種類のフロウが好きなんだ。流れるようなスムーズなのとか、滑舌が良くて切り刻まれた感じのとか。Project Blowedみたいなのとか凄い早くて流れる感じのもすごく好きだね。ラップという枠の中でいかに変化をつけるか、どうやって自分自身のスタイルを見い出し見せつけるか、っていうのも僕がラップの中で好きな部分だなぁ。それと、日本人のラップの仕方に特に決まったやり方が必要とは思わない、と言うのは、もっと切り刻んだ感じのラップをする人がいても良いと思うし、いくつか日本語ラップを聴いたんだけど、それはメロウでスムースな感じだったから。スムースなフロウは、日本語ラッパーに良く合ってると個人的に思う。日本語の文法的なことが韻を踏むのを困難にしているのかな、という感じもするけど、だからこそ日本語だからできる、というような創造性が生まれてくると信じてるよ。だから、うん。日本語のラップは好きだね。面白いと思うんだ。だって、色んなものを聴きたいっていう人にとっては、多くの機会を逃していることになる。それに、他の言語の音楽だけじゃなくて、「これがヒップホップだ」って枠に入れて、本当はとても素晴らしいものであってもその枠の外にあるからって聴かない人もいるから。でもそれは恥ずかしいことだと思う。なぜなら、僕にとってはヒップホップはいつも境界/限界をぶち壊すもので、何か違うことをするものだから。それに僕はいつも何か新しいものを聴きたいと思っている。それが僕にとって、音楽の中で最も好きな部分なんだ。僕は今はギャングスタ・ラップは聴こうとは思わない、若い時に随分と聴いてきたからね。N.W.A.とかCompton's Most Wantedとか、凄い好きだったけど、何かもっと違う、新しいものが聴きたいんだ。若者たち、N.W.A.とかCompton's Most Wantedとか聴いたことない人たちにとっては、新鮮に聞こえるはずだし、それを真似たりするのもよく理解できる。でも僕にとっては、それはもう過ぎたものなんだ。今でも当時と同じことをやってて、いいものを作っている人もいる。でも何かもう少しひねりを入れて、何か違ったものを作るべきだと思う。自分たちのヒップホップは他とは違うんだ、っていうのをやってほしいな。

これまでに色々な要素を取り入れたヒップホップが既に作られているので、これ以上何か新しいものを作り出すことが難しくなっているとは思いませんか?

確かにそうだね。僕が最初にAntiocnを聴き始めた時は、すごく新鮮でとても好きだったなぁ。今はインディー・ロック寄りの作品が多いように思うけど。でも、彼らがやってきたことには本当に敬意を払うよ。僕は、新しいことをやろうとし続けて、色々組み合わせたりしてるのを聴くのがとても好きで、Noah23なんかもすごく好きなんだ。なぜならまず第一に、彼はとても良い。でもそれだけじゃなくて、彼はドラムンベースでラップしたり質の異なるもの同士を組み合わせて新しいもの、違うものを作っている。

私もNoah23がすごく好きです。個人的に彼の音楽が変わったように感じるのですが、プロダクションが変わったからでしょうか?

彼はかつてOrphanと活動していたよ。Orphan、Noah23、それとほかのゲルフ(オンタリオ州)のアーティストたちで。でも彼は少し名前が知られるようになって、彼と仕事をしたいと思う人が増えたんだと思う。今はもうOrphanとは仕事をしていないと思うよ。Orphanは彼自身のプロジェクトBlue Sky Black Deathをやっている。Noah23は今はLegendary Entertainmentに所属していて、そこからアルバムを出しているよ。今のところNoah23で僕が一番好きなアルバムはCrunk23だね。Crunk Chrisは、Legendary Entertainmentのオーナーでありアルバムのプロデューサーでもあるんだ。最近セカンドアルバム"Dirty Bling"がリリースされたよ。ファーストアルバムもいいんだけど、色々寄せ集めてるというか「よし、ここにビートがあるから、ラップ乗せて」みたいな雰囲気が少し感じられて。ところがセカンドアルバムは、「Noah23の為にビートをつくったぞ」っていうのが伝わってくる。前回よりも「一緒に」作品創りをした感じがする。僕は凄く好きだよ。だって、Noah23は最近まで早口のラップをしてこなかったはずなんだけど、この間彼にインタビューしたら、そんなこと言ってた。彼は昔ドラムンベースとかでラップするのが好きだっだんだけど、今は早くもゆっくりも音に合わせてやるようになったんだ。だから、今回のアルバムではCrunk Chrisはヒップホップなんだけどゆっくりしたドラムンベースみたいな曲があるんだけど、そういうのがNoah23をそういうスタイルにしたんだと思う。それがとてもうまくいっている。きっとCrunk ChrisがNoah23にもっと早いフロウでラップするように指示したんじゃないかな。。Noah23はカナダで一番好きなラッパーの一人なんだ。すごくスキルがあって、ラップする内容も単純に奇妙なことだったり、ドラッグ、エイリアン、何かの陰謀、抽象的な哲学的なことだったり、とても面白い。

彼は、カナダで有名ですか?

いや、そうでもないと思う。本当はもっと知られるべきアーティストなんだけど。。

- Thomas went to the studio - ここでトーマスはラジオに出演する為、スタジオへ。。 しばし中断。

トロントのクラブシーンについて教えてください。

(笑) 僕に聞くのは間違ってるかもね。最近はあまりクラブに行かないから。。多分、年のせいかな。昔はもっと頻繁に行ってたんだけど、正直言って本当にヒップホップだけのクラブっていうのはそんなに無くて、ヒップホップ・ナイト(笑)みたいなのはあったんだけど。大体がヒップホップとR&Bの、すごくコマーシャル的なイベントで、僕はそういうのには興味が無いから。それと、結婚してからはあまりそういう所には行かなくなったなぁ。時々クラブに行って踊ったりしたいな、と思うこともあるけど、うるさくて人と話ができないから、もし友達と出掛けるとしたらバーに行く方がいいな。昔はBeat Junky, Comfort Zoneっていうクラブがヒップホップのイベントをやってて、その中でインディペンデント・ヒップホップのイベントもあったんだけど、今はやっていないと思う。詳しいことは分からないけど。

Hand'Soloでのイベントはありますか?

リリースパーティーみたいなのはやるよ。でもライブ中心だね。個人的に、DJがただ音楽を流すだけっていうのに少し飽きてしまって。だからライブ中心のイベントをやる時も、ライブの前のDJは要らないと思ってるんだ。やるならもっと他のことをしたいと思ってる。前にHokey Religions & Ancient Weapons (are no match for a good blaster)のリリースパーティーをやった時、僕は Mr. Quibble(Fresh KilsとEchoによるユニット)に出演して欲しかったんだけど出来なくて、でもFresh Kilsだけは来てくれて、DJしてくれたんだ。彼はただレコードを回すだけじゃなくてもっと見応えのあるパフォーマンスをしてくれた。レコードを回しながらサンプリングしてMPC叩いて、みたいなね。僕はそういう、ただ回すだけじゃない、もっとクリエイティブなものが見たいと思ってる。もし自分がイベントに遊びに行くんだったら、ライブとライブの間にDJが音楽を流して、みたいなのは要らなくて、むしろ立て続けにパフォーマーが出てきた方がいい。だって、次の出演者が出て来るまでDJがかける曲を30分とか1時間聴きながら座って待ってるっていうのが好きじゃないんだ。別にDJが間に入ってもいいんだけど、ただ再生するだけじゃなくてもっと違うことをやって欲しいって思う。だから、僕だったら30分のDJを入れるんだったら、むしろその30分に違うMCを投入してラップしてもらいたい。僕がやったリリース・パーティーでは、なるべく沢山の人に出て欲しかったから、7組のアーティストに出演してもらったんだ。いいMC達が沢山いるからね。それにDJとのコンビネーションもよくとれてたと思う。もちろん、他のイベントでも良い曲をかけるDJはいるし、聴くのも好きなんだけど、家でテレビを観ていた方がいいなと思うこともあるよ。正直言って、イベントの終わりまでクラブにいてその後、苦労して家まで帰る必要ないと思う。だったら、少しDJの時間を削ってライブを観て、1時間くらい早く終わって早く家に帰れる方がいい。単に年のせいかもしれないけど。。(笑)

Wordburglarはトロントで定期的にライブをやっていますか?

wordburglar image今はだいたい月一のペースでやってるよ。ただ少し問題があって、トロントにはヒップホップに対してフレンドリーなクラブがそんなに沢山ないんだ。ヒップホップのグループがイベントをやると、喧嘩が起こったりトイレに落書きされたりするから、それで敬遠されるんじゃないかな。もちろん懇意にしてくれる所もあって、Wordburglarはかなり沢山のライブをやってる。彼は、僕が思うに、ライブを頻繁にやり過ぎて、お客さんに飽きられるのが嫌なんじゃないかな。それと彼はどのヒップホップ・アーティストとも共演するっていう訳じゃないんだ。決まったグループ、関係のある人たちとトロントでは活動しているね。もし彼らがライブをやる時はWordburglarもやる、というような感じで。でもカナダではヒップホップ・リスナーだけに向けてやってもだめなんだ。例えばSwollen Membersなんかはパンク・リスナーやスケーター、普通にポップスを聴いているリスナーにもターゲットを広げてやっていて、彼らはそういう人たちが知っている数少ないヒップホップ・グループの一つになっている。カナダではヒップホップ・シーンとしてのビジネスやツアー、ラジオや雑誌なんかがそんなに発達していないから、情報が体系化されていないんだ。だから、もし本当に有名になって成功したいんだったら、ヒップホップ・リスナー以外の為にもやらなければならない。そんな中で、Wordburglarの良い所の一つとして、彼の音楽はリスナーの幅がとても広いと思ってる。彼の詩はアグレッシブじゃないし、声的にはそうだけど。でも詩的には、新聞に載ってるような噂話とか、一般的な人が理解しやすい事柄について語ってる。それとハリファックスで育ったことについてとか。そういう内容って、みんながどこかしら共通点を持ってると思うんだ。だから、彼は多くの人に受け入れられやすいと思う。彼はロックバンドやパンクバンドと数多くのライブを重ねているし、コメディアンでもあるんだ。Wordburglarとしてのライブの合間にコメディーのネタを混ぜたりしてるんだよ。だから多くの人々に受け入れられる。モヒカンの人が沢山いるようなイベントでもね、彼らは頭を振って踊ってたんだよ。それと最近観たライブは、普段はほとんどがロックバンドが出演するイベントで,ヒップホップ・グループが出るのは本当に珍しい感じだったんだ。だからその日は、よく彼のライブに来てくれるお客さんが少しいるだけで、あとはロック好きな感じのお客さんばかりだったんだ。それで彼がライブを初めてから少しすると、お客さんたちは耳を傾け始めた。だって、彼は高速ラッパーじゃないから聞き取りやすいんだ。それからみんな彼のリリックを聴き始めて、だんだん笑顔になっていって、リズムに乗り始めたんだ。それを見て本当に嬉しかった!そこにいた人のほとんどが普段はヒップホップを聴かない人たちだったのに、気に入ってくれたんだ。僕が思うに、Wordburglarが次の段階に行くのに何が有効かっていうのが、まさにこのことだと思う。彼はヒップホップ・リスナー以外の人たちにも受け入れられ始めている。ストリート・ラッパー達の中には、彼のラップを認めたがらない人もいると思う。ハードコアな内容をラップしてないからね。でも僕は気にしない。Wordburglarが本当にヒップホップを好きっていうのがリリックから伝わってくるし。何より、彼がより多くの人にアピールしているっていうのが、いいことだと思ってるよ。"Burglaritis"に収録されている"The Route"のビデオクリップの撮影をハリファックスですることになってるんだ。それと、もうすぐ3枚目のアルバム"Thirdburglar"がリリースされる予定だよ。(Wordburglar myspace - http://www.myspace.com/wordburglar)

他に注目しているアーティストはいますか?

僕のレーベルでは残念ながら財政的な問題もあって、Wordburglarがメインのアーティストだね。お互いにサポートし合っていていい関係だと思う。あとはアルバータ州・エドモントン出身のEpicやアルバータ州・カルガリー出身のLexington & Whatevskiとか、最近はもっぱらアルバータのアーティストと仕事をすることが多いなあ。それとさっきも言ったけど、Cadence Weapon。彼は好き嫌いがはっきり分かれるアーティストだと思う。僕的には一人Antipop Consortiumみたいだなと思ってるんだけど。カナダではとても人気があるよ。

ありがとうございました。

- この頃、ゲスト出演していたGhettosocksのフリースタイルとExtremitiesとの共演が始まったため、スタジオへ静かに移動し、見学させて頂きました。

(2008年7月12日)
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